カテゴリ:音楽( 218 )

リュート、テオルボ、ガンバのコンサート

15日の日曜と16日の月曜、2日間続けて久々のガンバでのコンサートにを行います。リュートとテオルボで伴奏してくれるのは高柳義生君。彼は現在ドイツのフランクフルト国立音楽大学に在学中ですが、今度の一時帰国の最後にぼくとコンサートをすることになったのです。

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今年はモーツアルトの生誕250年として騒がれていますが、バロック音楽の方では、天使のように奏でる名手と讃えられたマラン・マレーの生誕350年という記念すべき年でもあります。
マラン・マレーという名前がどことなく女性的で、雰囲気がありますよね。ぼくもガンバを弾きはじめた当初は、音楽を聴いたこともないのに、この名前の響きに憧れていたものです。
このコンサートではマレーのヴィオール曲集第4巻から中心に選曲してあります。
伴奏がテオルボのため、シャープやフラットが沢山付く曲は外しましたが、やはりどうしてもという思いで、「夢見る人」は演奏します。

ガンバ(ガンバとヴィオールは同じ楽器です)の音色は人間の声の響きに近いですね。人の声の渋さ、甘さ、ささやきやため息、しまいには金切り声まで含んでいると思います。
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マレーのようなフランス音楽を演奏する時には、イネガール(不均等分割)という暗黙の掟というか、演奏法が存在することでしょう。八分音符が並んだ時、どのように不均等な長さで演奏するのか、意外に演奏者によってまちまちなのです。ガンバに限らず、フランスのバロック音楽の演奏では全ての奏者、歌手がこの問題に取り組んで独自の見解を得なければなりません。
イネガールという演奏習慣の実態は、実はきちっと理解されているわけではありません。その分おかしな疑問符?付き演奏も多くて、勉強する人を悩ませています。
ぼく自身は「確信的なイネガール」と「確信的でないイネガール」の2種類に分けて考えています。特に、チェンバロの演奏に際してはこのことはかなり重要な演奏上のポイントになります。
近いうち、そのことについて論じてみたいと思います。
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by toshimusikk | 2006-10-13 00:39 | 音楽

古楽器紹介プロジェクト?

群馬県という地方で古楽器の演奏家をしていると、誰かにこの音楽を教えて伝えるという機会が大変少ない。。ぼくの後輩たちも、留学して集中して古楽を勉強してきても、地元に帰ってくるとお教室すら開設するのが難しい、、、古楽器に触れて勉強してみようと思う人がほとんどいないのがその理由。

このままではいけない、私たちに明日はない!!、と思い、近頃前橋市内に支店をオープンさせた「雪草楽器」さんと協力して、古楽器の展示紹介とミニコンサート&講習会のイベントを企画させてもらうことになりました。
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そもそも、古楽器をやりたいと思っても近くに教えている人や実際に触れる楽器がないのでは、思いはそのまま素通りして消えてしまいます。結局本当の希望とはちょっと違うけど、ピアノ教室やバイオリン教室に通って、「きらきら星」とか「みつばち」みたいな子供向けの小品を弾いて、よくできましたね、、、と誉められて終わる方向に流れてしまうのです。

誰かさんが古楽器に触ってみたいと思ったとき、自分の足で動ける範囲に何か一つ本物の楽器があって、それを弾いてくれる人がいて、古楽器の魅力について語れる人がいれば、その誰かさんは古楽器に一歩近付くために、とりあえずは電子楽器から始めることだってできるはずです。
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初めて楽器を勉強する人が古楽器を手にした時、指の勉強とか音符の勉強と同時に、自分が音楽表現をする喜びを体で感じられる教材にすぐに巡り会います。「きらきら星」ではなくて、モンテヴェルディのメロディーや、古いシャンソンの美しいメロディーがそこら中に転がっています。古楽器をはじめた人は自分が初心者であることも忘れて  「音楽はいい〜!」  と自分で演奏する喜びに浸ることができるのです。げんに数こそ少ないのですが、ぼくの生徒さんたちがみなそういう体験をしています。

今「雪草楽器」に展示してあるのは、山野辺暁彦さんの作られたやや古いタイプのクラヴィコードです。山野辺さんが現在作っているのは、さらに音量、音色に改善が加えられた本当に素晴らしいクラヴィコードで、海外からも見学者が来るほどです。

もしも前橋に日帰りでこられる範囲にお住まいで、クラヴィコードに関心のある方はぜひ試奏しにいらしてください。ピアノ以前に愛用されていた鍵盤楽器の温もりあるタッチと音色に癒され、魅了されるはずです。
楽器はレンタルですので、どなたでも安価で手もとにおいて楽しむことができます。
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by toshimusikk | 2006-10-10 12:56 | 音楽

東京琴社絲竹班

10月5日、高崎の少林山達磨寺にて、東京琴社社主 坂田進一先生の琴(七弦琴)と東京琴社絲竹班の伴奏付き大施餓鬼がおこなわれました。 
  つまり、だるまさんを師とする有名なお寺で、中国音楽の伴奏をつけた大仏事が執り行われたのでした。
  その絲竹班に、私も呼ばれて参加してきました。
 
 中国音楽の楽譜というのは古くは漢字で書かれていたのですが、現在は数字譜に統一されています。
  数字譜というのはド、レ、ミ、のかわりに1、2、3、を当てていくわけです。するとシの音は7になります。つぎは再びドつまり1に戻るわけです。もちろん音の高さをあらわす音高記号やシャープ、フラット(ほとんど見ませんが)なども使います。
  久々に絲竹班に参加できて楽しく演奏できました。上手にとはいえないところが悲しいのですが、、、

  この日先生が琴の演奏に使ったのは、なんと約900年ほど前に作られたオリジナル楽器でした。c0095185_19124860.jpgわれわれ西洋古楽の世界ではほとんど考えられない古さですね。だいたい、その頃から姿形が変わらずにあるというだけでも、すごいことですが、当時の譜面を見て現代でも演奏できるのですから、東洋の古楽は西洋の古楽より遥かに先んじている感があります。

  古楽と自称して、楽器やマテリアル、演奏法にこだわって勉強している古楽器奏者は数多く生まれましたが、それは東洋音楽の世界では当たり前に行われていたことです。井の中の蛙にならずに、よく目や耳を開いて、閉ざされた道でなく末広がりの道を歩けるようになりたいですね。

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                    本番前、お酒を召した後に琴をつま弾き出した坂田先生
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by toshimusikk | 2006-10-07 19:24 | 音楽

酒蔵コンサート

9月16日、群馬県太田市新田木崎町の山崎酒造さんの酒蔵にて、恒例の小さなチェンバロコンサートを行いました。

小さなチェンバロとは、友人の大滝眞さん(秩父市在住)の作ったショートオクターブのイタリアンチェンバロのことです。
しっかり響きのある会場で弾くと、この楽器はその小ささからは連想されにくい豊かな音を響かせてくれます。しかも、音色も美しい。製作した大滝氏はアマチュアの楽器製作家です。秩父産の最高の杉板を使いましたというだけのことはあります。c0095185_082593.jpg
この日本産の材で作られたチェンバロですが、非常に相性のいい会場が2つあります。一つは今ご紹介しているこの酒蔵。床、壁、天井と板材がふんだんに使われています。
もう一つの会場は、同じ群馬県の桐生市にある有鄰館・酒蔵です。こちらは土間に土壁の大きな倉です。この会場でも大滝氏のイタリアンチェンバロは大変美しい音を響かせました。どちらでも、コンサート用の大きなチェンバロが負けてしまうようなしっかりした美しい音を奏でます。

なぜか「酒」に縁があるようですが、酒と音楽の関係はまた後でお話しする機会が持てるでしょう。ちなみに、日本酒をすこぶる旨そうに飲む酒豪の渡辺さんというイメージを持つ人がぼくの回りにいるようですが、実は最近、家でお酒を飲むのを止めました。

さて、音域の狭いこのチェンバロで、どんなプログラムを用意したのか、参考までに披露しておきましょう。


イギリス:アイリッシュ、ケルト、スコティッシュの響き

1 ヘンリー・パーセル(1659?〜1695)の小品集
   リッリブルレロ(新しいアイリッシュ民謡)
   ミヌエット
   リガドーン
   シフォーチの別れ

2 フィッツウィリアム バージナル ブックより
  ジャイルズ・ファーナビー
   スパニオレッタ
  ウィリアム・バード
   アルマン、 ラ ヴォルタ、 ウォルゼイ・ワイルド
   カリーノ カストゥーラメ、 ラ ヴォルタ 
  作者不詳
   竹田の子守唄
   キャン シー(イクスキューズ マイ ロング)
  ジョン・ブル
   王の狩り 

   バロック初期から中期の鍵盤音楽

   3 ジロラモ・フレスコバルディ(1583〜1643)
      トッカータ 第2番
      トッカータ 第7番

   4 ヨハン・カスパール・ケルル(1627〜1693)
      トッカータ 第4番

   5 こきりこ節 富山県地方

   6 ルイ・クープラン(1626〜1661)
      組曲へ長調 クーラント
            サラバンド
            バスク地方のブランル
            シャコンヌ

   7 ジャン・アンリ・ダングルベール(1628〜1691)
      リュリ作曲のオペラ「アルミード」より
          アルミードのパッサカリア 




 
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by toshimusikk | 2006-09-18 00:23 | 音楽

行列のできる音楽家

はじめはチェンバロとヴィオラ・ダ・ガンバの両方をどっち付かずでやっていた自分でしたが、やがてチェンバロを専門的に意識するようになったのは、ルイ・マルシャンというフランスのクラヴサン、オルガン奏者の作品を聴いてからです。

ルイ・マルシャンの作品はわずかしか残っていないので、その音楽の全貌を知ることは到底無理なのですが、クラヴサンのための2つの組曲を見ただけでも、それがフランスの音楽風土にかなり深く根ざした素晴らしい作品であることが分かります。
華麗さと反比例に中身を失っていく他の後期クラヴサン奏者達とはまるで反対に、古いスタイルではあっても濃密な音楽性に裏打ちされている作品だと思います。

ルイ・マルシャンの音楽は地味だということで、余り演奏されることはありませんが、その作品をいきいきとしたフランス様式で演奏するには、かなりのテクニックが必要とされる難しさもあります。ぼくがいかにマルシャンびいきかということが、もうお分かりでしょう。

さて、マルシャンの天才ぶりとその逸話を一つ。

彼の非凡な演奏は、若干14歳で出身地リヨンの大聖堂のオルガニストに任命されたほどでしたが、やがて20歳でパリに出てくる頃には、パリ市内でオルガニストの座に空席を持っていた教会のほとんどすべてから就任要請を受けていたということです。そのうちいくつを彼が受け入れたのかは定かでありませんが、王のオルガニストという地位を受ける以前の彼は、複数の教会を掛け持ちで演奏していたそうです。
そこで、同じ日に幾つもの教会の演奏をしなくてはならないことが頻繁におこります。彼は助手をお供に多分徒歩で教会から教会へと移動しました。
なんともおかしいのは、そのすぐ後を多い時には200人近い人々がぞろぞろついて歩いていたというのです。今風にいう、追っかけですね!

彼の教会での公開の演奏を聴きたくて、彼の後をついて回るのです。その行列の中には、若き日のジャン・フィリップ・ラモーの姿もありました。

おそらくそんな光景に出くわした人々は、いったい何事か!と思ったことでしょう。「とりあえず行列を見たら並べ」、と教え育てられたロシア人なら、かなり幸福な思いをしたでしょうね。ぼくも、心底並びたーい!

ほんとに残念です・・・が、想像は楽しい!!
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by toshimusikk | 2006-09-13 14:06 | 音楽

ガンバ・コンサートも久々に

同郷の群馬県から、ドイツのフランクフルトにリュートで留学中の高柳義生君が戻ってしまう前に、ぼくと二人の「リュート、テオルボ、ヴィオラ・ダ・ガンバのデュオコンサート」をすることになった。
 急な話しだったのだが、何とか桐生と前橋の会場を押さえられたので、ほっとしています。
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今年はマラン・マレー生誕350年の記念イヤーです。コンサートでは、第4巻の曲集から「夢見る人」「バディナージュ」を中心に4、5曲と、アーベルのソナタ、オルティスのレセルガータのほか、自分のアレンジものも披露したいと考えています。高柳君は、テオルボでロベール・ドゥヴィゼーとリュートでアテニャンの音楽を独奏する予定です。
 ぼくのガンバは、ヴィーラント先生所有のベルトランをそっくりコピーさせていただいた楽器で、製作はその義理の息子ミッシュです。また会いた〜い。
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 ちなみに、高柳君とぼくとはちょうど干支でひとまわり違いの子年です。準備期間の少ないコンサートですが、本当に久しぶりのガンバコンサートなので、気合い入ります! 群馬県でこんなことができて、幸せ者だと思います。
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by toshimusikk | 2006-09-07 08:17 | 音楽

小さなチェンバロのミニコンサート

3日、女性会館という場所で、小さなイタリアンチェンバロを使って、30分のミニコンサートをやってきました。
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参考までにプログラムを紹介しておくと、チェンバロになじみのないお客さんがほとんどなので、まず、バッハのメヌエット1・2、パーセルのNew Irish tuneほか2曲、アイリッシュがテーマになったので、バードのCaleno Custuremeを歌とチェンバロのアレンジと両方と急速なラヴォルタ。つぎに、竹田の子守唄、こきりこ節の弾き語り、さいごにアルミーダのパッサカリアでした。
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音響の悪いところで音が客席後ろまで届かず、マイクを近付けて拡声しました。みなさん熱心に聞いて下さいました。歌はもっと練習して、いい声出したいな〜!

ショートオクターブのイタリアンチェンバロ、軽くてどこにでも運べて、本当に便利、助かります。
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by toshimusikk | 2006-09-04 00:56 | 音楽

つまらないものにも我慢強い?

c0095185_12362422.jpg昨日、某高等学校の礼拝堂にて、パイプオルガンとフルートの演奏会を聴きに行ってきました。  わあ、今時こんな演奏をする人たちがまだ居たんだ〜、というような前半のバロックプログラム。

オルガンの規模は28ストップ、1766本のパイプを持つ、大の小といったところか。しかし、現代のオルガンはアクションに電気式を取り入れているため、鍵盤へのタッチから実際にパイプが音を発生するまで、電子制御でわざと時間ラグを作ってあるのかもしれない。

そんなオルガンと合わせなければならないフルートは気の毒だ。なにしろ、文字どおり、息が合わないのだから・・・

アンサンブルが本当にチグハグで、ずれまくりー! なのに! 大勢の聴衆はみな真剣?
オルガン奏者もなれたもので、現実がうまくいかない分、派手なボディーパフォーマンスでカバーしている。 まあ、しかたないかぁ・・・

それでも、ブラボーなんて声をかけてしまう聴衆もいて、聴いてる側も立場が恥ずかしくなってゆく >>>> あぁあ〜

学生の時芝の増上寺の地下ホールで、毎年現代音楽週間というのをやっていて、できる限り聴きに行った。その中で、忘れられない思いで、

曲のタイトルは「一人のオーケストラのためのタイタニック号の沈没」 すっご〜いっでしょ!
演奏するのはバイオリニスト一人。その彼、名前は覚えていないがロック系バイオリニスト。
しかし、演奏はすばらしい!!

ところが、、、なのです。彼の回りにはドラや太鼓、ペダルのついたバスドラム、などなど多くの楽器が並べられ、バイオリンのダウンボーで上手に叩いたり足でドンドンやったり、その熱演ぶりをふと離れた視点で眺めたら、ぼく一人急に可笑しくなってきて、クックッ と笑いをかみ殺すのに容易でない。ところが、一分もしないうちに、隣の若者に笑いが移ってしまい、それがあちこち飛び火して、ついに堪えることが困難になった私たちは、ステージの熱演に合わせるかのように、会場内に大爆笑の渦を巻き起こしてしまった。

演奏者は、我慢強く、最後の死者を弔うコラール風のフレーズを、重弦奏法に自らの声を重ねて歌い上げて、晴れて、ブラボーの嵐となったのです。
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by toshimusikk | 2006-09-01 12:33 | 音楽