未来

c0095185_0222629.jpg


『m』は未来のm。未知数で未完成。足らない方がたしていけるからいい。

このイラストは、私が主宰する古楽器バンド「コキリコ社」のCDや、現在計画中の私のチェンバロのソロコンサートを収録する予定のCDのデザインを担当してくれている、若手写真家、デザイナーの大竹麻実恵さんの作品。

落書きのようなタッチなのに、幸せな気持ちがたくさん詰まっている。
彼女と知り合って今年がたぶん4年目だと思うが、ぼくの知る大竹さんははじめからこんな自由で、さり気なくて、ありのままの思いをデッサンや写真や構成作品にやすやすと仕立て上げている人のようには思えなかった。

初めて彼女にあった時、、、大竹さんはフランス政府の国費で日本の伝統芸能(地方の祭り)の撮影に来ていたフランス人の同世代の写真家を案内しながら、東北から日本海側を旅して回っている最中だった。

なぜ私が彼等と合流することになったのかを話すと長いことになるのでやめておこう。

実はその時、彼女自身がカメラマン、さらにデザイナーという方向を意識していたかどうか知らないが、愛用の一眼レフのデジカメで道中一緒に写真を撮りためていた。嬉しいことに、今それらのコピーが私の手もとにある。新鮮なものを感じさせてくれる、いい視線を持った写真だ。

数年後、彼女から個展の招待状が来た。
出かけていくと、写真は決してメインではなく、会場の蔵の2階一杯に、様々な小物を上手に利用し、彼女の世界に作り直してしまったインスタレーションが繰り広げられていた。明らかに建物の外とは異質な空気の密度と粘性が作り上げられている。それでいて居苦しくならない、不思議に心地いい潜水艦の内部に入り込んでしまったような錯覚を覚える。

その世界のほんの一部の断片ではあるが、「ブルー」「ピンク」と名付けられた2冊の写真集が残され、現在も販売されている。私もその中に納められている写真作品を一つ購入した。それが、私の製作した「コキリコ社」のCDのジャケットに使われている。

その時の彼女の心の瞬間をかろうじて写した作品は上記の2冊の写真集と、約10種類ほどの絵はがき用として製作された作品しか残されていない。

冒頭の写真はその時に彼女が手掛けた絵はがきの一つ。そして、そこにそえられたコメント。私はこれを手にすると、いつもその両者の息づかいの絶妙なバランスにドキリとしてしまう。そして自分の中で薄らいでいた『m』の気配に聞き耳を立てる。
未知数であり未完成であることの幸せ、、、それこそが、未来であるべきなのだと思う。
[PR]
by toshimusikk | 2007-04-07 00:56 | アート
<< カフェ・コンサートやります 桜と都富酒 >>