尖った集中、ゆるんだ集中 1

演奏家は多くの聴衆を前に、一期一会、その時限りの生演奏を行います。
ただ一人のために演奏するのも難しいことですが、多くの聴衆を前に、全ての人に向かって音楽を届けようとすることも難しいものです。
どんな場合も演奏家は緊張しています。その緊張は時や場所、コンディションや雰囲気によって大きく様変わりします。
この緊張によってリズムが悪くなったり、細かいパッセージで指やbow、息のコントロールがうまくいかなかったり、あるいはこちらの緊張があからさまに聴衆に伝わって雰囲気全体が硬くなってしまったり、とにかく難しい事態になってしまうことが多いのでした(私の場合)。
この緊張を解きほぐすのは至難の業、そして気持ちを強くして乗り越えようとすると、集中力は高まる反面、どんどん尖ったものになってしまいます。
それでもキャリアを積むに従って、崩れない演奏ができるようにはなります。時には自分の演奏を楽しんでいる自分を発見することもあります。

しかし、ただ練習をつめさえすれば何とかなるような次元とは違う、もっと自分が自由に羽ばたけるような、自分が演奏をすることでもっと広い世界、もっと深い世界へ繋がっていけるような境地があるに違いないと、いつもそう思わずにはいられませんでした。そんな気はするのでしたが、では、何をどうして、自分の心をどんな風に高めていったらいいのか・・・
こういうことを教えてくれる音楽学校や教師はいないし、また、同じ問題を語り合えるような仲間もいざとなると見つからないものです。

ジャズや軽音楽、民族音楽等で活躍している音楽家は、いつもすごく自然に楽しみながら自由に演奏しているように見えます。
これに対しクラシック系の音楽を演奏する場合には、作曲されたものをいかに正しく、美しく、内容深く伝えるかというプレッシャーが存在して、おそらく演奏家は常に自分自身と格闘せざるを得ないのです。 ・・・つづく

  演奏家にとってのゆるみとは
「ゆるみ」について考えると
分かっているのに気付かない
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by toshimusikk | 2006-11-08 09:33 | 音楽
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