「ゆるみ」について考えると

「ゆるみ」ということに最初に気付いたのは、ニューミュージックの歌手EPOの「Kawi-唄の谷」というアルバムを聞いていたときのことです
このアルバムは全体がすごくリラックスした感じで、『みんな、こんな時代だけどしっかり明日を向いていきていこうよ』というようなメッセージが心優しい歌詞とメロディーで歌われています。
この歌手が全く自然に聞かせてくれる聴く者の緊張を解きほぐしてくれるような歌い方はどこにこつがあるのだろう・・・? それが気になって、自分なりにいろいろ考えてみました。
そしてついにこのCDに合わせて歌ってみると分かったのです。歌の音程がここという時ではかなり低めにとられている。ところが伴奏を含めた全体の演奏を聞いているとそれがちっとも気にならないのです。この音程の取り方は実は歌手EPOの歌唱テクニックの一つでした。

つまり、音楽表現を中心に考えると、音程には全体に遊びがあって、緩やかな幅を許容しているということですね。
そこで、歌には歌手自身の喉や胸、音程を合わせて歌おうという緊張感などが緩んでいないと歌えない音程の幅がある、という結論を得ました。
この考え方は、実はぼくが長い間追求してきたチェンバロのタッチの問題やガンバのボーイングの問題と根っこを同じにしているということに気付かされたのです。

ぎりぎりの緊張を強いながら正確な演奏をすることと、リラックスしたゆるみに支えられていて多少のミスタッチなど気にしない流れを重視した演奏をするのと、あなたならどちらを自分のスタイルにふさわしいと感じますか?  聞く者の立場になってみると、後者を支持する方が多いのでしょう、きっとね。 だって、演奏者の計算外のアクシデントのある演奏の方が面白いじゃないですか!!

今日は前回の「分かっているのに気付かない」という日記にアンサンブル・ビクトリアの鈴木雄三さんからコメントをいただいたので、この問題をもう少しお話しようと思い「ゆるみ」の問題その2、として取り上げました。つまり以後その3、4と続けていきたいと考えています。
とりあえず、その2はこの辺で・・・次回をお楽しみに。。
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by toshimusikk | 2006-10-26 00:54 | 音楽
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